ユーリ!!
ユーリ!!起きるッスよ!!

朝ご飯食べちゃうよ〜ヒッヒッヒッ

朝食などどうでもいい…から、寝かしてくれ・・・

あ、ユーリィ!違うんスよ!
出番がそろそろ来るッス!!

デバン…

パーティーが16に突入するんだ!
・・・・・とゆーことは?

・・・
・・・・・
・・・・・・あ




【僕の朝寝坊を君に捧ぐ】




いや、なんというか。ただ眠い。

だから朝は苦手なんだ。
差し込む日光が目に痛いし、日焼けするし、なんだか寒いから毛布から出たくないし、寝癖がひどいことになってるし。

挙げるとキリがないな・・・
よし、そんな朝を有益に過ごすために

寝よう。

「あ、ちょ、ユーリ!!
何二度寝しようとしてるんスか!」 
「あ、毛布を頭まで被ったぞ」

うるさいぞアッシュ…
私の有益な甘美なる睡眠のひとときを邪魔する気か。
そのような輩は何人たりとも許さない。

「あ、棺桶の蓋まで閉めだした!」
「ユーリも本気だねぇ〜ヒッヒッヒッ」
「そんな所でニヤついてないで、早くこっち来て開けるの手伝うッスよ!!」
「はいはーい♪」

く、奴らめ・・・否が応でも私を寝かせないつもりだな・・・
しかし、こちらにも考えがある。

「ゆ、ユーリ・・・魔力をあげたッスよ・・・
どこの世界に寝るためにフルに体力使う奴が居るッスか?!」
「大糸とか」
「ウッソォ?!あの人いつも寝てるじゃないスか?!」

なんだか・・・・・段々ズレてきてないか?
まぁいい。私には関係無い。


わかるとは思うが、この後も延々と蓋の引っ張り合いが続いたわけだ。
全く、ムキになるなんて・・・フッ、子供だな。

誰だ今つっこんだ奴は。


まあいい。


さあ!!観念しろ!!アッシュ!スマイル!!


ん?
なんだ?

体が浮いて・・・棺桶の外に引きずり出され・・・

「イヒヒッ
ユーリつーかまーえた〜」
「観念するッスよ」

くっ・・・ディーノの奴を連れてくるとは・・・
通りで蓋が閉まらないはずだ。

透明人間と犬にしてらやれたな。




  》》》》《《《《




頭がぼーっとする。

さっきのさっきで私はバンド仲間に引きずり出された訳だが、
所詮眠い物は眠い!!吸血鬼が夜行性でないことすら間違っている!

「ユーリ、さっきからペンを進める手が止まってるッスよ。」

「うるさいぞアッシュ。
私は寝起きで機嫌が悪いんだ。」
「寝起きからは三時間経ってるよ〜」


・・・・・と、とりあえず曲を書かなくては。

パーティーへの提出が間に合わない。
あまりにもギリギリだったからって隠し曲になるらしいしな。

まったく、全ての私のファンが嘆くじゃないか。


・・・・・誰だ、自業自得などと唱えた奴は。


まあいい(こればかりだな)。

とりあえず真面目に取り組んでみようか。


「曲名だが・・・」
「お、もう決まってるんスか?」
「Late Riserでいいか。」
「いや!!もうその曲あるし!!
つーかアンタの曲!!」
「自分の気持ちに素直だねえ」


つ っ こ ま れ た 。


  》》》》《《《《


しばらくうつらうつらする中、
アッシュとスマイルに声援(ほぼ罵声)を送られつつ、
曲は三日三晩不眠で完成した。


「なかなかいい曲じゃないッスか。」
「今までと雰囲気違うね〜。」
「六年ぶりだからな。
少しイメージチェンジを図ってみた。」

これは、半分嘘で、半分本気だ。
この曲は微妙に最近の心情を全体的に表現してみたのだ。
半分は気分で、確かにイメージチェンジを図ってみた。

まぁそれなりに、新しい私の姿を書けたと思うが、
ファンがどのような反応をするかは、はっきり言って自信がない。

新しい私が認められるかどうかは、ファンの気持ちによる。

六年間のブランクは大きい・・・というわけか。


考え事をしていたら不意に後ろから、頭を小突かれた。

なんだ、人が珍しく真剣に考えているときに。


「ユーリ!」
「こっちを見るッス!!」


・・・・・?なんだ?
・・・箱・・・


「リーダー、六年ぶりの復活おめでとうッス!!」
「これはボクらからのプレゼントだよん♪」


・・・・・プレゼント?

ななななな、なんだ??
食べ物だったらとか入ってそうだ。

あ・・・―これは。


「あのユーリの事だから、イメチェンするだろうなと思って。」
「スマイルと2人で、似合いそうなものを選んで来たんスよ。」


こいつらは―

なんなんだ。
さっきまで布団から引きずり出して、罵声を浴びせていたと思えば
突然、こんなものを満面の笑みとともに届けてくれる。


叶わないな。こいつらには。


くどくど考えていたがやめようか。


こいつらがいれば、大丈夫だ。
このパーティーも

―これから先も。






早起きも、悪くない。