暖かな陽の光が窓辺から差し込み、美しい人形を照らしだす。

そら…出来たぞ

まあ…あの子にそっくり…まるで生き返ったようだわ

今日からお前は、私たちの大切な娘だ−

オトウサマ、オカアサマ。
ツクッテクレテ、アリガトウ。


昼の陽気。
薔薇の花の香りが鼻をくすぐる。

お前は本当によい娘だ。
あぁいつかお前があの時のように話しかけてくれると良いのに

アア、オトウサマ。
ワタシモホントウノ娘ノヨウニオハナシシタイ。


太陽が高いとき、
不意に暗雲が太陽を覆い、日が陰る。

何故だ、どうしてお前は戻ってこない
何も言わないお前を見ているだけなど、私には苦痛でしかない

あなた、この子は人形なのよ。
あの子ではないの。

アア、オトウサマ、オカアサマ。
ナカナイデ、ナカナイデ。
ワタシハ、アナタタチのムスメナノ

ダカラ…


ひとつ、ふたつ冷たい雨粒が窓枠をぬらす。
やがて雨は強く硝子を叩き始める。

ああ、そうだ。あの子は死んでしまったのだ。
いくらあの子と瓜二つの人形を造っても
あの子は…帰ってこない

チガウワ、チガウ。
ワタシハニンギョウダケド、アナタノムスメヨ

あなた…

なぁお前よ。このまま生きているくらいなら
あの子の元へ行った方が幸せだと思うんだ

ええ…私もそう思うの

オカアサマ!ワタシハ、ワタシハ…!!


稲妻が窓枠の景色を引き裂く
緋色の床


旦那様!!奥様!!

呪いよ!!人形の呪いよ!!

チガウ…ワタシハ…

この人形のせいで…

チガウ、チガウ
ワタシハ、タダソバニイタカッタダケナノ

早く処分するんだ!!

ヤメテ、ワタシハ何モヤッテナイノ
ソバニイサセテ

ネエ、オトウサマオカアサマ
ワタシヲ

ソバニ

イサセテ




【或る人形師の輪舞曲V】




「どうしましたか、シャルロット」

シャルロットの目から輝く物が滴り落ちている。

窓の外には相変わらず暗雲が広がっていたが、
雲の切れ間からは陽の光がまっすぐ伸びていた。

「夢を見たのですね。」
ジズは読んでいた本を机の上に置き、椅子から立ちあがった。
椅子に座って変わらない表情のまま涙を流しているシャルロットの前に膝をついた。
「貴女のお話は、もうすぐ聞けますよ。
もう貴女は涙を流すまでに人間に近づいているのですから」
サファイアの瞳は少し虚ろになった。

不意に背後から声が聞こえる。
「ソノ娘ハ人間ニナルノヲ恐レテイルムダ。」
「お前は黙っていなさいカンタ。」
「憎シミトカ、痛ミトカ、イラナヒカムジョフガフエルカラ」
古びたぬいぐるみのカンタは、ジズの注意を無視した。
「また綿を引きずり出されたいのですか」
ジズはカンタの方は見ずに少し低い声で言った。少し暖炉の炎がちらつく。
「オホコワ。ワカッタヨシヅカニスルヨ」

しばらく沈黙が部屋中に走った。

シャルロットはゆっくりと首を振る。
そしてジズの瞳をじぃっと見つめると、もう一度首を振った。
「違うのですか?」
「ウソツケ。」
「黙りなさい」

シャルロットは小さく口を開けたが、声が出ない。

「っ…ッ……」

シャルロットは胸を一生懸命に押さえて声を出そうとするが、出ないとわかると
また、俯いてしまった。

「………」

シャルロットはジズを上目遣いで盗み見ると、すぐに目を逸らした。

「少し、早くに無理をしすぎたようですね」
ジズはすっと立ち上がり、シャルロットに背を向けた。
ため息をつくジズの目の前でカンタが挑発するかのように飛び跳ねる。
「ナーカシタ。ナーカシタ。」
ジズはふむと考え込んでいる。
「ナーカシタ、ナーカシタ。
幽霊紳士がナーカシタ」
「黙れ」
一瞬氷のような冷たさが部屋に満ちたかと思うと
カンタの動きが止まり、地面にパタリと倒れた。

シャルロットの目が驚愕で見開かれた。
そしておろおろとジズとカンタを交互に見た。
が、ジズは笑顔で振り返った。
「大丈夫ですよ。シャルロット。数分で元に戻ります」
シャルロットは苦笑いをすると凍りついた真顔に戻った。


そしてジズはまた考える姿勢になり向こうを向くと、
今度はすぐに振り向いた。
「思いつきましたよ。シャルロット」
シャルロットは首を傾げる。
いつもより口角が上がったジズはいかにも愉しそうだ。

「貴女に足りない人間としての感情は心からの『楽』です。」

突如マントが翻り、一瞬陽の光が遮られたかと思うと
潤んだサファイアの瞳は己の前に跪くジズという今までならばありえない姿を映し出した。
何事かと思うシャルロットの前に差し出された手の主は、ゆっくりと顔を上げる

「一曲お手合わせ願えますか、
マドモアゼル」

妖しく輝く仮面には、戸惑うシャルロットの姿があった。




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中途半端なギャグみたいのがいた気がする。
どうも、調子に乗った大糸です。
3話はグダグダ感が否めません。まぁそりゃアニメブリーチ見ながらだったし。

カンタが中途半端に出たよ。愛の鞭です。彼の台詞は読みにくくがモットーです。

なんかジズがただの優男に成り下がってるし、最後の台詞は私が言わせたk(ry

シャルロット喋らせる!!とか言っときながら回想だけじゃねーか!!死ね!!とか思わないでね。ちゃんとひらがなで喋るからね。

回想と言えば、次回はあの子が出そう。
誰かって?まーそりゃゾンビのあの子ですよ。
無駄に長くてごめんなさい。

死んできます。
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